TopicsEssay

ALSと生きる武藤将胤さんという人

2017.05
文:中村幸代


 自分がとても苦しいときに、それでも他の人のことを思い、自分に何ができるかと心底考え、行動することができるだろうか・・・。
 20代という若さでALS(筋萎縮性側索硬化症)という難病を発症し、日々、身体が動かなくなっていく恐怖と闘いながら、同じALS患者、そしてハンディキャップのある方々のために立ち上がり、命を輝かせている武藤将胤(まさたね)さんという人がいます。武藤さんの口からは、運命を嘆く言葉も愚痴も一切出てきません。感謝の言葉を重ね、希望を語り、世の中が少しでも明るくなること、ハンディキャップがある人と健常者の間に垣根が無いボーダーレスな社会の実現を目指して、笑顔で『がんばります』と。その優しさと強さ、自らの運命と使命とを受け入れる潔さと思いの深さ。なんと大きな人なのでしょう。多くの人は、命に限りがあることを頭の端で知りながら、それはどこか遠い他人事で、自分には今日と同じ明日がやってくると当たり前に信じています。今日ある命・・・無限ではないその時間をどう使うのか。自らに問わずにはいられません。武藤さんが立ち上げた一般社団法人WITH ALSの活動をずっと応援していきたいと思います。



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