「難病・ALSと共に生きる」



新しい環境を楽しむ

一般社団法人WITH ALS代表理事
コミニュケーションクリエーター EYE VDJ
武藤将胤さん

20代の頃に突然、ALSを宣告された武藤さん。自身がALSと向き合いながらも、同じハンディキャップを抱えている人達の明るい未来を目指して、新たなアイディアを発信し続けている。今号では武藤さんの活動を軸に、ALSのこと、そして限られた時間をどう生きていくか考えていきたい。

ALSとは?

ALSとは、運動をつかさどる神経に異変が生じて筋肉へ命令が伝わらなくなる難病のこと。2014年にはアイスバケツチャレンジの流行によって、世間に広く認知されるようになった。現在はまだ有効な治療法はなく、原因も不明である。

ALSの現状

ALSは運動神経が壊れていき、手を動かす自由も声を出す自由も奪われていく。「未だ治療法が見つかっていないため、悪化する過程をただ見ていることしかできません。今ある治療薬に関しても、完治できるものがないため、少し進行を抑えたり、弱めたりする作用の薬しかないんです。僕たち患者はALSを1日でも早く治せる病気にしたいと切実に感じています。」
この病気の希望の光が「IPS細胞」の研究である。「ALS患者が実際にIPS細胞の治療を受けられるようになるまで5~10年ほど必要だと言われています。けれど、IPS細胞の治療薬を待っていると手遅れになってしまう仲間が、僕を含めてたくさんいるんです。1日でも早く治せる病気にするためにも、
WITH ALSの活動によるコミュニケーションの力で認知・理解を広げていくことが治療方法の確立に繋がればいいなと思っています。」と、武藤さんは強い思いを口にした。

一般社団法人「WITH ALS」を設立

 ALSの宣告を受けた帰りの新幹線の中で、武藤さんがご両親に伝えた最初の言葉がある。「心配をかけて申し訳ない。でも、僕はいまALSという病気と闘っている仲間のために、未来が少しでも明るくなるようなアイディアを自分で考え、全力でやるための団体を立ち上げようと思う」。なぜ、診断を受けたその日のうちに気持ちを立替えることできたのか、武藤さんは話す。「ALSを宣告されてから、“時間は有限であり終わりがある”ことをつきつけられたんです。そのとき、“限られた時間で自分は何に投下するだろう”と改めて考えました。僕はこれまでも広告プランナーとしてクリエイターという自分の役割があったので、ALSと闘っている仲間のために未来を少しでも明るくさせるアイディアを形にして生み出していくことが、今の僕にできる使命だと思い、気持ちを切り替えました。」
宣告を受けた翌年の正月には、ALSと共に向き合う覚悟をして活動することをYoutube上で宣言。そしてその後、「NO LIMIT, YOUR LIFE」-すべての人の人生にきっと限界はないというスローガンを掲げ、一般社団法人「WITH ALS」を設立。コミュニケーションとテクノロジーの両軸でALSの啓発や支援活動を目的とした活動をスタートさせた。

目の動きで電子機器を動かすアプリケーションの開発

ALSと闘う仲間が不自由を感じているものは何か、武藤さんの目に映るものがあった。
「ALSは進行が進みにつれて手足が自由に動かせなくなり、声もだせなくなるため、唯一のコミュニケーション手段である“目の動き”で意思疎通をとってらっしゃる方が多くいました。僕は初めてそういった患者さんと触れ合ったとき、“凄く最先端のテクノロジーがここにあるんだ!”と感じたんです。それと同時に、“全身は動かなくても、意識や脳が正常ならば、きっと伝えたいことや思いはもっとたくさんあるのではないか”と思いました。」
そこで武藤さんは“全ての人に表現の自由を”というコンセプトをもとに、眼鏡会社と共同でプロジェクトを立ち上げた。「眼鏡を装着してスマートフォンとブルートゥースを連携させることで、目の動きによる線の動きと瞬きで色んな電子機器を動かせるアプリケーションの開発を行ったんです。そのアプリケーションを使って、僕自身もうちのスローガンである「NO LIMIT, YOUR LIFE」とうメッセージを伝えていくために、音楽で表現したいと思いました。僕は音楽が大好きで、DJをしている時にALSになってしまったんです。手がどんどん使えなくなっていき、手でDJをすることができなくなりました。僕の表現の自由を叶えられるのであれば、音楽で表現してみたいと思い、目の動きだけでDJプレイを始めたんです。このアプリケーションを土台に、人によっては写真を撮ったり、絵を描いたり、いろんな表現の自由を叶えられるべきだと思っています。」
武藤さんは実際にEYE VDJとして音楽と映像を融合させ、DJ・VJの同時プレイをフェスで披露した。
「このプロダクトと出会って、“どんどん身体が悪くなったとしても、目指すべき、超える道はあるんだ”ということを凄く感じたんです。だとすれば、僕のアクションを通じて、皆さんにとって表現したい気持ちや思いを、もっとテクノロジーを活用して発信できる未来を作れると思い、活動を行っています。」

ALSを発症する平均的な年齢は60~70と高齢の方がほとんどであり、20代という若さで発症するのは稀有だと言われている。「僕たちみたいな若い世代だからこそ、テクノロジーや新しいものへの感度が絶対に強いと思うんです。だからこそ、僕らは有効なテクノロジーを開発したり、セレクトしたりして、それをいかにALSの患者さんやハンディキャップを抱えている方に活用してもらえるのか考える、これがいま挑戦したいことです。」


「行動しない人生より、行動する人生のほうが生きていて良かったと思える。未来を明るくしていくことをみんなと行動して形にしていく人生にしたい。」
難病を患いながらも、前向きな気持ちを抱き、積極的に行動を起こしている武藤さん。
この姿勢は健常者もハンディキャップを抱えている人も関係なく、自分の人生としっかり向き合い、毎日を大事に生きていくことの大切さを教えてくれている。

------その他の活動-----------
■シナプス(オンラインサロン)【WITH ALS 武藤将胤「生きる挑戦」共に未来を創る仲間たちへ】の開設

■パーソナルモビリティ「WHILL」のカーシェアサービス

■ファッションブランド『01(ゼロワン)』の立ち上げ など

詳しくはサイトをご覧ください
http://withals.com/

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