宝石強盗のニュース

ルーブル美術館から宝石が盗まれた、というニュースをテレビで観ていた娘が、こう言いました。
「犯人が、イケメンだったらいいな。」
ルーブル美術館の宝石をたった7分で盗む、などということは、まさにインポッシブルなミッションなのであって、犯人たちは卓越した頭脳と素晴らしい運動神経の持ち主なはず……。娘が続けて、「犯人が捕まってイケメンだったら、ファンクラブできそうだよね。」私も無責任に同意してしまいました。
フランス政府やルーブル美術館、フランス国民当事者の方々にとっては大変な事件であり、許し難い犯罪であることは理解しながらも、興味は『一体誰が、どうやって?』の一点に。不謹慎ではありますが、まるで映画のようではありませんか。
しばらくして犯人らしき人物は拘束されたようですが、この数年の海外のニュースといえば、ウクライナやガザのような人命が多く失われる、暗く重くるしい報道が目立ちます。そのせいか、今回の宝石強盗のニュースには、不思議なほど嫌な感情がわきませんでした。
この原稿を書いている時点では、盗まれた宝石はまだ見つかっていません。
ひょっとしたら将来、この宝石の運命をたどった映画ができるかも……そんなことを思うのは私だけでしょうか。
文 中村幸代










