大豆のチカラを借りよう

大豆は「畑の肉」と言われるほど、栄養価の高い植物性の食材です。醤油、味噌、豆腐、豆乳、納豆などの加工品にも含まれ、古くから日本の食卓で愛されてきました。しかし食文化の変化と共に、大豆製品を食べる方が減ってきています。栄養が豊富な上に安価で手に入れることができる、ミラクル食材の大豆。その魅力をご紹介します。

大豆は良質なタンパク質が豊富

私たちが健康的な日常生活を送るために必要とする三大栄養素は、「炭水化物」、「タンパク質」、「脂質」です。その中のひとつであるタンパク質が、大豆には豊富に含まれています。
たんぱく質は臓器、筋肉、皮膚、毛髪などを構成するだけでなく、免疫力、ホルモンなど体を調整する上で欠かせない栄養素です。しかし、意外と不足しがちです。

タンパク質は色々な食材に含まれていますが、一言でたんぱく質といってもその「質」はさまざまで、人間の体づくりに適しているタンパク質を含む食材は、「大豆」、「肉」、「魚」、「乳製品」、「卵」などです。大豆に含まれているタンパク質の質は肉や魚に匹敵するため、植物性で良質なタンパク質を摂りたいときに、大豆は欠かせません。

1日に必要とされるタンパク質の量は成人女性だと約50gですが、それは50gのお肉を食べればいいわけではありません。例えば、高タンパクと言われているささみや胸肉だと、100g中のたんぱく質量は約25gで、脂身が多い部位だと少なくなります。生肉は100g中10~25gほどと覚えておきましょう。乾燥大豆100g中にはたんぱく質が約33gもありますが、乾燥のまま食べるわけではありません。加工によって水分量が変わってくるので、製品によってその栄養価(大豆がどれだけ使われているか)は異なります。
1日に必要なタンパク質を動物性の肉だけで摂ろうとすると、余計な脂(飽和脂肪酸)も多く摂ってしまうので、大豆製品と組み合わせて摂取することがおすすめです。

*大豆製品に含まれるタンパク質の量(100gあたり)
乾燥高野豆腐(約50g)、※水に戻してからぎゅっと絞った高野豆腐(約25g)、油揚げ(約15g)、納豆(約16g)、厚揚げ(10.7g)、豆腐(約6g)、無調整豆乳(約5g)

エストロゲンの減少には大豆食品が効果的

・イソフラボンの働き
イソフラボンは大豆に含まれる栄養素のひとつ。この成分が女性ホルモンに良いとよく耳にするのは、女性が自ら分泌しているエストロゲンという女性ホルモンに化学構造が似ているためです。エストロゲンは女性の体の応援隊で、コラーゲンの生成の促進や血流の促進、骨密度低下の抑制、毛髪を豊かにするなど、女性にとって欠かせない役割を持っています。エストロゲン自体が体を構成する成分になるわけではなく、体のあらゆるところで「やる気スイッチ」を押してくれる働きがあります。そのため、エストロゲンが分泌されなくなると、徐々に様々な働きが鈍くなり、体に影響がでてきてしまうのです。

エストロゲンの分泌量は一生涯でティースプーン1杯分ほどといわれています。そんなわずかなものが大きな影響力を持つのです。35歳を過ぎると分泌量が落ち始め、急激な変化に身体が追いつかなくなって更年期の症状が出ることもあります。このこと自体は自然の流れではあるものの、上手に付き合うことで心身の健康が保たれます。エストロゲンの分泌量が年齢と共に減ってしまうからこそ、イソフラボンにもやる気スイッチを押してもらいたいものです。イソフラボンのパワーはエストロゲンの1/1000~1/10000と言われますが、それでも、摂るのと摂らないのでは、違ってくるようです。

・エストロゲンにより似ているエクオール
イソフラボンにはスーパーイソフラボンというものが存在します。それは「エクオール」という成分です。これは大豆製品を食べてお腹の中に届いたイソフラボンが、自分の腸内細菌によって変化したもので、イソフラボンよりもさらにエストロゲンに似た化学構造です。ただし、全員がエクオールを作れるわけではなく、あくまでも自分の腸内環境次第。人種によっても異なり、欧米では3割、アジアでは5割ほどと言われています。とくに小さい頃から大豆製品を食べている人ほど、エクオールを作れる確率が高いというデータもあります。腸内環境を良くすることにも意識を向けるようにすると良いですね。

「低カロリー=ヘルシー」は誤解!

「大豆は体に良いけど、カロリーが高いのでは?」と思われる方がいるかもしれませんが、そもそもカロリーは悪いものではありません。カロリーは、三大栄養素から計算されるエネルギー量です。つまりカロリー0だとしたら、三大栄養素がまったく含まれていないということなのです。
現代では低カロリー料理やダイエット料理がヘルシーで健康だと思われがちですが、それは違います。「食べただけで痩せる料理」というのは、冷静に考えたら怖くないでしょうか。肥満気味の人が食事の量や質を適正にし、不要な脂肪が燃えて体重が減ることは問題ありませんが、健康的な体型の人が適量の食事で痩せていくというのは良くありません。
カロリーが低いものばかり選んでいると、栄養バランスが崩れる原因になります。また、低カロリーだと思って野菜ばかりを食べていると、タンパク質が不足してしまいます。食事を選ぶ際は、カロリーではなく栄養バランスを気にするようにしましょう。

失敗しない!おすすめのソイフードレシピ

豆腐は和食料理に使われることが多いですが、洋食のレシピにも活用できます。

*豆腐のポタージュスープ 
・豆腐 300g
・たまねぎ 中サイズ1/2個
・コンソメスープの素(顆粒タイプ) 300ccスープ分
・水 0~250cc(お好みで)
・オリーブオイル 大さじ1
・塩・胡椒 適量

作り方
① 豆腐は軽く水分を取っておく。
② スライスしたたまねぎを、オリーブオイルでしんなりするまで炒める。
③ 豆腐・たまねぎ・コンソメスープの素をミキサーにかける。
④ お好みで加水し、塩・胡椒で味をととのえる。
⑤ 鍋で加熱するか冷蔵庫で冷ます。
お好みでパセリや胡椒をちらして完成!
★+αで、加熱済の根菜、かぼちゃ、ブロッコリーなどを加えるのもオススメです。

*高野豆腐のキーマカレー 
材料(4人分)
・高野豆腐(乾物) 60g
・たまねぎ 中サイズ1個120g
・にんじん 中2/3本 120g
・カレールウ(フレーク状) 大さじ10~12(味の濃さはお好みで)
・水 150~180cc
・炒め用油
・ごはん 

作り方
① 高野豆腐を水で戻してからフードプロセッサーにかける。
② たまねぎ、にんじんはみじん切りにし、しんなりするまで炒める。
③ カレー粉をお湯で溶いておく。
④ ②に高野豆腐を入れて2~3分炒めてから③を加える。
⑤ 水分が飛んできたら火を止めて、ごはんの上に乗せる。

軽くて胃もたれしないので、食事をしてから寝るまでの時間が短いときにもおすすめです。
豆腐ミンチと鶏そぼろを半々にしても良いですし、冷めてもふっくらするのでお弁当に向いています。つくねを作る時などに高野豆腐を混ぜるのも良いです。ミンチ後に冷凍しておくと使いやすいですので、作り置きにも◎。また、高野豆腐は大豆製品の中でも特に高タンパクなので健康にも良いです。

健康オタクになる必要はナシ!調整力を身につけよう

「あれもこれもだめと」いうような健康オタクになるのではなく、調整力を身につけることが大切です。例えば、仕事終わりに夜遅くラーメンを食べに行くことになったら、その時間は充分に楽しみ、翌日に身体に優しいものを食べて調整すれば問題ありません。毎食がバランスの良い栄養満点の食事にならなくても、微調整をしながら結果的に体に良いものを摂っていけばOKです。健康も美容も食事が基本。美肌、美髪のためにケアすることも大事ですが、まずは自分で作り出すものをきれいにしておきたいものですね。体の内側からきれいになりましょう。

ぜひ大豆を積極的に摂り入れてみてくださいね!


<取材協力>

池上紗織 様プロフィール

一般社団法人日本ソイフードマイスター協会 代表理事
https://www.jsfma.jp/

健康も美容もまずは自身の体づくりから。
食と健康についての基礎知識と、その中での大豆の役割、そして和食だけにとらわれないソイフード(大豆料理)を学べる講座を毎月開催。また、食品メーカーや学校給食用のソイフードレシピ開発を行っている。
協会から生まれた家庭食料備蓄推進活動 デイリーストックアクション 実行委員長として、備蓄の大切さも発信している。
二児の母として日々奮闘中。

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