イライラとの上手な付き合い方


日常生活の中でイライラしてしまうことって、どうしてもありますよね。もしイライラや怒りの感情と無縁の生活を送ることができたら、心が穏やかでいられ、人間関係も良好でいられるかと思います。アンガーマネジメントを身につけて、怒りの感情と上手く付き合えるようにしましょう。

■アンガーマネジメントとは?

アンガーマネジメントとは怒りの感情と上手く付き合うための心理トレーニングのこと。理論を理解してトレーニングすることで、誰でもできるようになります。

■「怒り」は悪い感情ではない

最近では教育現場や職場で「怒らずに褒めて育てる」風潮があり、怒ることはいけないことだと思っている人が多くいます。けれど、怒りは喜怒哀楽のひとつ。怒りの出し方は様々ですが、誰もが持っていて当然のものです。ただし、怒るときに気を付けたいのは、怒って後悔をしてしまうこと。怒っても良いけれど、後悔しない怒り方をするようにしましょう。

■怒りはどこからやってくるのか

アンガーマネジメントでは、「怒り」は突然降ってくるものではなく、こちら側に何か「つらい」「苦しい」「不安」などの感情が元々あり、それが他のことをきっかけに「怒り」として現れます。例えば、仕事で翌日に大事なプレゼンを控えて不安な気持ちになっているとき、子供が悪ふざけをしている。その姿を見た瞬間に、それまで抱えていた不安な気持ちが溢れて爆発、怒りが生まれてしまうのです。このように心が不安な状態でいると、本来なら普通に考えられることも、怒りへと変わってしまうことがあります。

■人それぞれに違いがあることを忘れずに

人にイライラしてしまうとき、相手の行動に対して「~すべきだ」と、自分のものさしで相手を測っていたりしませんか。例えば、朝の10時に待ち合わせをしていて、10分前に到着するのが当たり前だと思っている人は、ギリギリで到着した人に対して「もっと余裕をもって到着するべきだ」と思ってイライラします。本来ならば間に合っているので問題はありませんが、自分の中で凝り固まった考えがあると、その考えから外れた人に対して怒りの感情がわいてしまうのです。
人と付き合う上で大事にしたほうが良いのは、自分の「べき」と他人の「べき」は同じではないということ。このことに気が付ければ、相手が自分の考えとは違う行動をとっても「まぁいいか」と受け流すことができるようになります。また、「自分と同じ」か「自分と違う」と白か黒かで相手の行動を判断せずに、グレーもあることを認識できると、イライラすることが少なくなります。先ほどの時間の話でいうと「私は集合時間の10分前に到着するように動くけど、間に合えばいいと思ってきた人はそれでもいいか」と思えるようにできればOKです。

■家族に怒りやすいのは、「怒りの性質」のせい

職場では決して言わないようなことを、家族に言ってしまうことってありますよね。身近な存在ほど怒りが強くなってしまうのは「怒りの性質」にあります。また、怒りは高いところから低いところへ流れる性質を持っているので、夫への不満をつい子供にぶつけてしまうこともあるかもしれません。まずは、これらの怒りは怒りの性質によるものだと理解しましょう。そうすれば、「つい強く言ってしまうのは「怒りの性質」に負けているからだわ」と自分を客観的にみて考えることができます。相手に伝えたいことがあるときは、冷静になることが大切です。

■相手への伝え方

相手に怒ったり叱ったりしてしまうとき、「こうして欲しい」という「リクエスト」よりも「感情」が先に出てしまっていませんか。感情的な言葉は相手に何も伝わりません。どのように話したら相手にきちんと聞いてもらえるのか、伝えるときのポイントをご紹介します。

×言ってはいけないこと
・「なんで~するの」と問い詰める
・「前も言ったよ」と過去のことを蒸し返す
・「~しろ」「~して」などの命令口調

怒るとつい口から出てしまう言葉ですが、これらを使うのは逆効果です。
例えば、職場の上司が部下のミスに対して、「なんでお前はこんなことしたんだ!前にも同じことしただろう。もっとしっかりしろ!」と怒ったとします。すると、部下は自分がした失敗の良し悪しよりも、「どうしたら上司が許してくれるのだろう」と一生懸命に「言い訳」を考え始めます。または「パワハラだ」と思うかもしれません。言葉選びを間違えると、失敗したことを直して欲しいと思っているのに、本来こちらが言いたいことが伝わらなくなってしまうのです。これらの言葉はできるだけ使わないように心がけましょう。

〇「I(アイ)メッセージ」で伝える

I(アイ)メッセージとは、「私(I)」を主語にして伝えるメッセージのこと。例えば子供が宿題せずにいつまでもダラダラしているとき、「早く宿題をしなさい!」と「あなた(you)」を主語にした命令口調で言っても、相手には伝わりません。「お母さんは早く宿題をやったほうが良いと思うよ」というような言い方をするのがIメッセージです。冷静に話すことができるので、相手にも伝わりやすくなります。

■怒りをコントロールするうえで気を付けること

ここまでは言葉の選び方についてお伝えしてきましたが、言葉だけではなく、「表情」や「声の高さ」、「話し方」などにも気を配ることが大切です。表情が強張っていたり、早口で相手をまくしたてたり、キンキンとした高い声をだすと、相手は委縮してしまいます。イラっとしたときこそ、口角をあげるようにして、自分はご機嫌だと脳を騙します。すると、あまり強い怒りを生まずにすみます。怒っているときこそ、表情は柔らかく、低い声で穏やかに、そしてゆっくりと話すことを心がけましょう。

■少しずつ意識を変えていけばOK

当然ながら、アンガーマネジメントは聞いたその日にすぐできるものではありません。三回に一度上手く伝えることができたら良いと思うようにして、コツコツと意識を変えてトレーニングしていきましょう。

<取材協力>

産業カウンセラー、アンガーマネジメントコンサルタント、元小学校校長オフィスさえき「佐伯るみ」さん
大学卒業後、37年間広島県内で小学校に勤務する。
校長、幼稚園園長を務める。

退職後、社会のお役に立ちたいと産業カウンセラーの資格を取得した。
その後、アンガーマネジメントに出会った。
自分自身も子育てと仕事の両立でのイライラ、仕事上で感情を爆発させて
人間関係を壊してしまった苦い経験など、アンガーマネジメントを知っていれば、回避できたと反省をもとにアンガーマネジメントを伝える講座を開講している。

同時に自分自身も産業カウンセラー協会で現在も継続して、新しい情報収集や研修を受けながら、パワーハラスメント等、ハラスメント、メンタルヘルスを含む研修、教師の経験から教師向け、保護者向けの講演、教育相談、発達障害についての相談等、依頼に応じて、それらを組み合わせた研修や講演会を行っている。

現在は、東京を拠点に全国で活動を行っている。
https://officesaeki.com

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