スパイスをもっと楽しむ




『スパイスをもっと楽しむ』
取材協力…スパイスコーディネーター協会理事長 武政三男様

日本ではスパイスに対して、“辛くて刺激のあるもの”というイメージを持っている方がほとんど。ですが、スパイスは辛味をつける以外にも様々な働きがあり、料理の美味しさの幅を広げています。スパイスの持つ働きや活用法を知って、もっと身近に楽しんでみてくださいね。

■スパイスは辛いものとは限らない
スパイスは飲食物に香りや辛味、色味などをつける食物由来の食品のことを指します。日本ではとくに、スパイスに対してこの「辛味」をつけるイメージが強くあるため、スパイス料理といえばカレーのようなインド料理を思い浮かべる方が多いかと思います。けれど、日本で親しみのある「生姜焼き」や「漬物」などの和食も、辛味はないけれどスパイスを使った料理のひとつ。身近にスパイスを使った料理が溢れているにも関わらず、スパイスは辛いものだと誤解をしてしまう背景には「スパイスを使った料理」と「スパイス料理」の違いが分かっていないことが言えます。

スパイス料理→あきらかに使用されたスパイスの香味感が分かり、その風味が料理の特徴となっているもの。

スパイスを使った料理→スパイスは食材の臭みを取ったり、料理を美味しくするために使われるため、香味感がないもの。 

この違いが分かると、日本でもスパイスの存在がもっと身近に感じられるはずです。

■スパイスの役割
スパイスの主な働きには、「香りづけ」、「辛味づけ」、「色付け」、「臭み消し」などがありますが、この他にも面白い働きがあります。それは「料理の味や香りをまとめる」働きがあること。人は舌の味蕾で五原味(甘味、塩味、酸味、苦み、旨味)を評価しますが、辛いものを食べたときに感じる辛味や痛みは、神経で感じるものなので、ここに含まれません。この五原味とスパイスの味覚が加わることで、料理全体のバランスが整います。例えば、酸味のあるものにスパイスを加えると、辛さが和らいで味がまろやかに仕上がります。お寿司を食べていてネタを変えるときに、ガリ(生姜の酢漬け)や大根なども食べますが、これは口の中のバランスをスパイスで調整しているのです。

■スパイスの種類
日本の代表的なスパイスには胡椒、生姜、わさび、山椒などがあり、家庭料理で日常的に使われていますが、
国外のスパイスも使ってお料理の幅を広げるのも楽しいです。

・クミン→インドのカレー料理には、欠かせないスパイス。日本人はクミンの芳香だけで、カレー風味と評
価します。辛くなく、芳香性に特徴があるため、低学年のお子さんや高齢者層の食事に「食欲が沸くスパイス」として活用できます。

・ガラム・マサラ→インドでは、カレー粉からカレー料理を作るのではなく、ガラム・マサラに他のスパイスを加えて、我が家のカレー料理を作ります。カレーを調理した後に、一人分小さじ1杯の「ガラム・マサラ」を加えて、さらに10分加熱すると、料理屋のカレーになります。

・クローブ→少し個性がある香味ですが、市販のソースには欠かせないスパイスです。タマネギをコンソメで煮込む汲み時に、丸ごとのタマネギにクローブ1個を刺して煮込むと、簡単にポトフーができます。

・ターメリック→昔ながらの本格的なたくあんは、大根の漬物にターメリックを使用して色を付けました。
        ターメリックを加えてご飯を炊き、おにぎりにしたものは、お酒を飲んだあとの〆にぴったりです。

・レモングラス→イネ科の草で、葉に良い香りがします。乾燥された葉を、日本茶や紅茶、麦茶などに加えても失敗はありません。世界的にハーブ茶に良く使用されますが、甘い芳香に特徴があるため、日本酒や酎ハイに加えても好まれます。

・オールスパイス→単一のスパイスでありながら、シナモン、クローブ、ナツメグなどの香味感を持っているスパイスのこと。用途は幅広く、肉料理やスープ、マリネなどの料理から、お菓子やジャムなどの甘いデザートとも相性が良い。

■スパイスと食材の好きな組み合わせを知る
食材とスパイスの組み合わせで美味しいと思う味に出会ったら、その理論を活かして、他の食材でも試してみて下さい。例えば、乳製品とスパイスの組み合わせは意外と上品な味に仕上がるのですが、この組み合わせを知るまでの背景には次のような流れがあります。

例)
1.ハンバーグ+ナツメグ/ステーキ+塩コショウ=美味しい!
2.「肉の臭みけしにはナツメグ/塩コショウが合う」と分かる
3「.2のスパイスが、臭みのある乳製品にも活かせる」という理論が成立する
4.乳製品→アイスや生クリームにも合う

こうした理論を知って活かしていくと、美味しさの幅が広がります。色々と試してみてください。

■スパイスは砂糖の変わりになる
お菓子の糖分が気になるときは、砂糖の代わりにスパイスを代用することで、糖分を抑えることができます。おすすめのスパイスは、シナモンやナツメグなど。また、珈琲の糖分を抑えたいときには、お酒にスパイスを加えたものを1、2滴ほど垂らすと、ブラックのままで美味しくいただけます。ケーキのような甘い香りがするという声も。作り方は簡単で、お酒(100㏄くらい)にシナモンスティック(1㎝くらい)を2本、クローブを2粒、オールスパイスを2粒、クエン酸を2グラムほど入れ、15分ほどおいておくだけです。一日に何杯も珈琲を飲む人には、砂糖のとりすぎを避けることができ、体にも良いです。

スパイスをぜひ色々な料理に摂り入れてみて下さいね。

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