Specialなこと

2020.10
文:中村幸代

green café essay vol.108
「Specialなこと」



「Today’s special」という言葉は、ワクワクしますね。「今日一番のオススメ」。なんとおいしそうな響き。シェフが腕によりをかけて、新鮮な素材の味を生かして仕上げた自慢の一品というところでしょうか。
やはり、“特別なこと”というのは、魅力的です。
かたや、平凡なことは魅力が無いのかというと、それはもちろん違うと頭ではわかっているのだけれど。

たまに主人がキッチンに立つことがあります。そしてできた料理を家族にふるまうときに必ずといっていいほど「パパが作った特別なカレー」「パパのスペシャルチャーハン」と、自ら「特別感」を演出するのです。
ひねくれた私は「じゃ、私が毎日三度三度作ってる料理は、なんなのよ。」と、数年前の私だったら嫌味のひとつも言ってしまったかもしれないけれど、ぐっとのみこんで考えてみるのです。
平凡といわれる日々を、私は本当に感謝して丁寧に生きているだろうか。失われた時に初めて知る「なんでもない日々の尊さ」とはよく言われることですが、それを本気でとらえていない自分に気付きます。
キッチンに立てること、お食事が頂けること、今日もこうして生かされていること〜それこそが本当は特別なこと。
そんなふうに考えて、今夜は心の中で手を合わせてから、布団に入ろうと思います。

文・中村幸代

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