TopicsEssay

その日がくるから

2016.03
文:中村幸代



 実は6年前、息子は私立小学校を受験しました。もちろん本人の意思ではなく私の意思で。
子育てなんて初めてでわからないことばかり、でも息子をなんとか一人前に育てなければ・・・その一心でした。

 受験をして良い学校に入って良いお友達や良い先生に恵まれれば、きっとまっすぐ育ってくれるだろう・・・そんな曖昧な希望を抱きながら私は受験に向かって、息子を乗せた小さな舟を必死で漕いだのでした。

 そして、どこにたどり着いたか。
 試験本番の3日前に息子は新型インフルエンザに感染し、なんとか許しを乞うて受験したものの、不合格となったのです。

 泣きました。本当に自分が情けなかった。息子に申し訳なかった。先輩のお母さんに「きっとこれで良かったんだと思える日が必ずくるから」そう励まされ、出発した公立小学校への通学。
 悩むこともあったけれども、その都度その都度、先生や周りの方が力になってくれました。今となっては、どれも大切な思い出であり、私と息子の成長の糧だったと思えるのです。

 これで良かったんだと思える日が必ずくるから・・・
 前をみて進むかぎり、その日はくるのですね。
 たくさんの人に支えられながら・・・

 この春、息子は小学校を卒業します。




MORE TO READ

2023

自然に沿った体づくり

うつをきっかけに自分を生きる

8月のプレート

いつかスッキリ暮らしたい

ケイトウ

アレルギーとの付き合い方

2月のプレート

またいきたくなるお店