TopicsEssay

また行きたくなるお店

2017.01
文:中村幸代


 駅前に、とっても安い八百屋さんがあります。新鮮な野菜や果物が所狭しと並び、細い通路はいつもお客さんでいっぱい。週末、みかんを買いに行ったら案の定、通路は行き来できないほどの混雑でした。大根一本120円。里芋も人参も、あれもこれも全てがとっても安いので、結局山ほどカゴに入れて、ひたすら並んでお会計。不覚にもお財布には一万円札しかなく、「大きくてごめんなさい」と言葉を添えて渡しました。忙しいのに嫌な顔をせず、お釣りを渡してくれたレジの女性にお礼を言ったその時、手が滑ってお釣りの小銭をひとつ落としてしまいました。
 下をキョロキョロしていると、そのレジの女性が「お金?」と。
 「あ、はい。でもたぶん一円玉だと思いますから、大丈夫です。」
すると女性は「下に転がったかなあ」と、レジの前の大きくて古くて重たい台をぐーっと押して、私の小銭を探してくれたのです。
 レジは長蛇の列なのに申し訳ないと、焦りながら私も台を押しました。古いお店なのに掃除が行き届いていて、そんな重たい台を動かしても、綿埃ひとつ出てこないことに驚きました。
 そして、ありました!小銭が。しかも1円ではなく100円玉!女性も「100円だ!この台、どかして良かったね!」と喜んでくれました。レジを待っていた人も、誰も文句を言いませんでした。

 人が集まってくるお店は、ただ安いだけじゃないんですね。また近いうちに、あの八百屋さんに行こうと思っています。今度は一万円札ではなく...。

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