心を守る日。世界メンタルヘルスデー

「My Favorite Things」は、いま、話題にしたい人・もの・コトを音楽プロデューサーの中脇雅裕がご紹介させていただきます。

今回は「世界メンタルヘルスデーのお話です。

世界に広がる心の健康への取り組み

みなさんは、10月10日が「世界メンタルヘルスデー」であることをご存じでしょうか。この日は、心の健康について理解を深め、偏見をなくし、世界中の人々が安心して暮らせる社会を目指すために、1992年に世界精神保健連盟(WFMH)によって定められました。

そもそも、なぜ、心の健康に光が当てられるようになったのでしょうか。20世紀後半から世界は急速に発展しましたが、その一方で「ストレス社会」とも呼ばれる時代が始まりました。経済が急速に発展する一方で、うつや不安障害といった心の病が世界中で大きな問題になりました。
働きすぎ、情報の洪水、人間関係のプレッシャーなどを背景に、心の不調は誰にでも起こりうる現代病となったのです。その中で「心の不調をもっとオープンに語り合える社会をつくろう」という願いから、この「世界メンタルヘルスデー」が始まりました。

日本でも、長時間労働や過労による心身の不調は、たびたび社会問題として取り上げられてきました。2000年代に入ると「心の健康づくり計画」や、学校・職場でのメンタルヘルス対策が進められるようになり、近年では「働き方改革」とともに、休暇の取り方やストレスチェック制度など、国全体で心の健康を支える仕組みづくりが広がっています。
10月は日本国内でも「メンタルヘルス啓発」に取り組む活動が多く行われる月で、ピンクリボン運動が乳がんへの関心を高めるように、メンタルヘルスデーもまた、私たちが心を守る意識を持つ大切なきっかけになっています。

心を守るためにできること


心の不調は決して特別な人だけのものではありません。誰でも環境の変化や人間関係、季節の移り変わりによって気分が落ち込んだり、眠れなくなったりすることがあります。
特に秋から冬にかけては、日照時間の短さから気分が沈みやすくなることもわかっています。これは決して「自分自身の弱さからくるもの」ではなく、自然な反応です。だからこそこの日は「心の健康を守るにはどうしたらいいのか」考えるきっかけにしてみましょう。
最近では「セルフケア」という考え方も広がっています。瞑想やヨガ、散歩、趣味の時間など、自分に合ったリフレッシュ法を見つけることが大切です。

日常に取り入れやすい方法としては――

・朝、カーテンを開けて光を浴び、体内時計を整える
・寝る前にスマホを手放し、深呼吸で心を落ち着ける
・食事を味わいながら丁寧にとる
・誰かに「話を聞いてもらう」時間を持つ


どれも小さな習慣ですが、積み重ねることで心を守る大切なケアとなります。
また、頑張りすぎず、ちょっと疲れたなと感じたら、無理せずにペースを落とすようにしましょう。
心の状態というのは、目で見てわかるものではないので、もしかしたら不調にも気づきにくいかもしれません。
だからこそ、日常の中で小さなサインを見逃さないことが大切です。いつもより疲れやすい、眠れない、気分が落ち込みやすい……。そんな些細な変化にも目を向けること。自分で気づきにくいときは、信頼できる人に「最近どう?」と聞いてもらうだけでも、安心につながるはずです。

「世界メンタルヘルスデー」は、単に「心の病気に注意する日」ではなく、「心の健康を育てていこう」と考えるためのきっかけの日。頑張りすぎていると感じたら少し立ち止まり、自分や大切な人の心にそっと目を向ける日として過ごしてみてはいかがでしょうか。


"My Favorite Things" 中脇雅裕 Masahiro Nakawaki

大学在学中より、多くのTV・ラジオのCM音楽を制作。
大学卒業後、財団法人ヤマハ音楽振興会にてポピュラー音楽指導ディレクターとして音楽教育法の研究および講師の研修を担当。
その後、東京に居を移しレコーディングディレクターとして数々のアーティストの音楽制作を手がける。
今までに制作に携わったアーティストはCAPSULE,Perfume,きゃりーぱみゅぱみゅ,三戸なつめ,近藤夏子,Jungle Smile,手嶌葵,古澤巌,中村幸代などジャンルを問わず多岐に渡る。
その他に、映画、CM、各種イベントなどの音楽制作はもとより、イベントプランニング、執筆活動、講演、ラジオDJなどその活動は幅広い。
音楽教育の経験とメンタルコーチングの知識を生かした講演、研修、個人コーチングも行っており現在、サウンド&レコーディング・マガジンに「音楽クリエイターのためのイメージ・トレーニング!」を連載中。

◆オフィシャルウェブサイト http://nakawaki.com/